ベトナムの定番観光都市といえばホーチミンやハノイですが、実はあまり知られていなくても素晴らしい都市が多々あります。
オートバイや車の排気ガスや騒音、人々でごった返した都会の喧騒、ねっとり肌にへばりつくような熱気、そんな定番ベトナムからエスケープしてちょっとクールダウンしたい、という方にはダラットを訪ねることをオススメします。
ダラットはベトナムの地元っ子のハネムーンや避暑地として人気の都市でホーチミンからバスで7時間ほど北へ行った地域にあります。
ホーチミンから移動すると、まずその気候の違いに驚きます。
熱帯モンスーン気候のホーチミンと違い、その涼しいカラリとした空気はまさに高原の気候。
2月の夜は人々はダウンジャケットや厚手のコートをきて手袋をしてたりして、ベトナムにも冬があったんだと思わず感心してしまいます。
街はあちこち花で彩られ、雰囲気の良いカフェやレストランがあり、独特の懐かしい情緒を醸し出しています。
そんなレトロ感の漂うダラットの街歩きで抑えたいスポットは湖畔エリアです。
スワンボートが浮かんでいる人工湖であるスンフーン湖の向こうにエッフェル塔を模したようなタワーが見えて、まさにプチパリの景色。
カップルとロマンチックに過ごすには人気の都市というのも頷けます。
でもどこか野暮ったいというか、「愛」の演出がベタなんですね。
それが随所に感じられるのは、花のアーチや白いベンチ、観光用の馬車サービスなどです。
馬車はなんだかシンデレラと白雪姫をミックスしたかのようなデザイン。
また「愛の谷」とか「愛の迷宮」とか観光名所に「愛」が恥ずかしげもなくついているのは、ちょっと照れてしまいます。
いい意味で、磨ききれてない田舎臭さがダラットの良いところだなと個人的には思います。
きっと戦後の50−70年代の日本のカップルたちも軽井沢なんかでこんなベタな雰囲気のハネムーンを楽しんだに違いいない!
湖畔は昼の散歩も美しいですが、夜景のイルミネーションがロマンチックです。
周辺のホテルもこれまた近代的な高層建築などではなく、ヴィラ風やリゾート風のホテルなのです。
湖畔の丘の上にあるダラット パレス ヘリテージ ホテルは美しく広い庭園があって湖を見下ろせます。
クラシックカーのタクシーサービスや、フレンチコロニアル風の調度品や螺旋の階段などのインテリアもエレガントです。
湖畔のほど近くにあるダラット市場はロータリーエリアにあって定番の観光スポット。
昼間も良いのですが、何と言ってもナイトマーケットの開催される夜が賑わってオススメです。
季節の花、野菜や果物、奥へ行けば洋服や雑貨、土産物なども売っています。
時期的なものなのかストロベリーの出店をよく見かけました。
もちろんストリートフードも。
このお好み焼き風の薄いクレープ状のもの、ベトナム風ピザというらしいです。
ダラット市街の不思議な魅力は、ロマンチックをテーマに「作られた感」があるということです。
植民地時代にフランス人に「開発」されたから当然なのですが、その雰囲気を現代に合わせモダンテイストにするのではなく、あえてそのまま。
だからなんとなく街全体に古ぼけた感が漂い、少し前の時代にタイムスリップしたような気分になります。
うーん、もしかしたら外国人が函館や神戸を訪れたら、似たような違和感を感じるのでしょうか。
ダラットの良さは私は市街よりも、少し離れた郊外にあると思っていますが、その話は次回ご紹介させていただいます。