前回、南のホーチミンの大渋滞について紹介しましたが、北のハノイもこれまた交通麻痺で有名なベトナムの大都市の一つです。
「どっちがひどい渋滞だと思う?」ってよく比較のネタになるんですが、私の独断と経験上だけで言わせてもらえば、間違いなくホーチミンです。
なぜなら、私はハノイに滞在したのは正月休みのシーズンだったので街は異様に閑散としてたし、ホーチミンで嫌という程味わった、道路へ横断する際のあのストレスは皆無だったからです。
そんなわけで、今回は旧正月のハノイの事情を紹介します。
日本では新暦の1月1日にお正月を祝うことになって久しいですが、中国をはじめ、旧正月にお祝いをする国は10カ国くらいあります。
2月になると中国人観光客が旧正月(春節)のホリデーを利用して日本を訪れ、爆買いしてる姿を見かけますね。
ベトナムも中国文化の影響を受けている国なので、旧正月を盛大に祝います。
ベトナムでは旧正月はテト「Tết」と呼ばれ全国が長い祝日となります。
人々はテトに向けて里帰りしたり、特別な料理をこしらえたり、お供え物を買ったり、家の掃除をして正月の飾り物をしたりと町中が何かと師走ムードです。
背の高さ以上もある金柑の大きな鉢に入った木を運ぶバイカーたちもよく見かけます。
街が正月用の桃や金柑、黄色の花々や赤い飾りで彩られている様を見るのは楽しいです。
ですが、実は観光客にとってはこの時期に旅行するのは何かと面倒です。
何しろホリデーシーズンで帰京する人たちが多いため、交通手段は混むし、しかも値段が跳ね上がります。
バスやタクシーを予約しても、なぜか通常より割高。
なんで?って聞くと「テトだからね」とのこと。
地元民率90%のローカルなカフェのベトナムコーヒーですら、なぜか値段が5割高に。
「あれ、昨日は同じコーヒー1万8千ドンだったけど?」って聞いたら、「テト料金なのよ」だって。
テトの最中に営業してやってるんだから割増料金くらい請求させろってことでしょうか。
まあ、80円くらいのコーヒーが120円くらいになってるのはいいんですけどね。
でもまだ営業している店があるのはありがたいことで、この時期は多くの店やレストラン、博物館、観光スポットがクローズし、観光客にとっては困り者です。
旧正月の前日、大晦日には「さて行くとこないし、何しようかな」ってな感じになります。
この日はホーチミン廟へ行ってみたのですが、本館や周辺の博物館は残念ながら休館日。
ただ外観からですが、白い制服の警備兵達の行進は拝むことができました。
オープンしていたのは周辺の無料で入れる一柱寺くらいでした。
他に行くところがないせいか、観光客が中へ入ろうと順番待ちです。
文廟(孔子廟)も休みでしたが、道路を挟んで向かいの施設でテト用のイベントが行われていました。
正月用の飾り物や食べ物などが売られています。
お供え用の丸いスイカに可愛らしいデザインのレリーフが刻まれています。
縁起の良いモチーフや春節を祝う言葉が書かれてあるようです。
書道の即時販売も。
書家がその場で客の希望する文字を紙に綴り売っていました。
外国人観光客も興味津々。
生きた鶏なんかもケージに入ってます。
子供達ツンツンして遊んでますが、この鶏は君らのお母さんにその後さばかれちゃうんだよ~、なーんて。
翌日の元旦の朝はやく空港へ移動だったのですが、当然バスなどはお休みなので、タクシーで移動しました。
華々しく新年を迎えた祭り後の街はゴミが散らばって閑散としてました。
もしかしたら、この日のこの時間帯が大都市ハノイの一番静かな時なのかもしれません。
そう考えると逆にこの不便さも貴重かもしれません。